15.11 Are seafarers provided with free access to external sources of support, whom they can contact in confidence while on board?
The company should consider providing free access to external sources of support for seafarers, whom they can contact in confidence. These may include maritime trade unions, seafarer welfare organisations or organisations specialising in the provision of support to those with mental health problems. (Guidelines to shipping companies on mental health awareness, 2018)
海で働くということは、誇りと責任を伴う仕事である一方で、孤独や疲労、ストレスとも隣り合わせです。船内という閉ざされた環境では、悩みを打ち明ける相手が見つからず、精神的な負担を抱え込んでしまうことも少なくありません。そんなとき、外部の支援機関が果たす役割は非常に大きいものです。
まず、海事労働組合(Maritime Trade Union)は、労働環境やハラスメント、不当解雇、賃金未払い、過重労働など、職場に起因する問題への相談窓口として機能します。代表的な組織には国際運輸労連(ITF)や全日本海員組合があります。彼らはメンタルヘルスの専門家ではありませんが、精神的ストレスの原因が労務問題にある場合、組合の支援は非常に有効です。上司に相談できない、会社側と利害が一致しない、匿名で話したい――そんな状況で、組合は外部支援として頼れる存在になります。
一方、船員福祉団体(Seafarers’ Welfare Organisation)は、より直接的に心のケアを提供します。ISWAN、Mission to Seafarers、Sailors’ Societyなどが代表的な団体で、24時間対応のホットラインやカウンセリング、危機介入、家族問題の相談、自殺予防支援などを行っています。中でもISWANが運営する「SeafarerHelp」は、世界中の船員とその家族が無料で利用できるメンタルヘルス支援サービスとして広く知られています。
International Seafarers’ Welfare & Assistance Network
SeafarerHelpは、無料で、秘密厳守、そして多言語対応。電話(+44 800 012 1004)、WhatsApp(+44 7909 470732)、ウェブチャットから24時間365日アクセスできます。相談内容は会社や船主に通知されることはなく、本人の同意なしに共有されることもありません。ストレスや不安、孤独感、抑うつ、いじめ、家庭問題など、幅広い悩みに対応してくれる心強い窓口です。
このサービスが無料で提供されているのは、会員企業の会費、慈善財団の助成金、海運業界からのスポンサーシップ、そして寄付金によって運営費が支えられているためです。つまり、船員が安心して相談できる環境を守るために、業界全体が支援しているのです。
監査の観点から見ても、ISWANのような福祉団体は「External Mental Support」として正式に認められています。TMSAやOCIMFの審査項目では、Employee Assistance Program(EAP)、Telemedical service、Welfare organisation、Chaplain support、Union hotlineなどが外部支援の例として挙げられます。したがって、船員福祉団体は明確に外部メンタルサポートとして扱われ、労働組合も条件次第でその範囲に含まれます。
海上で働く人々にとって、ISWANのSeafarerHelpは「孤立と支援のあいだをつなぐ架け橋」です。静かな船室の中で、スマートフォン越しに誰かが耳を傾けてくれる――その安心感こそが、海の上で働く人々の心を支える力になっています。
まずはISWANのサービスを乗組員に周知するための文章やポスター作りが、検船対策としても求められます。