AMSA(Australian Maritime Safety Authority)はTOKYO MOUのメンバーですが、TOKYO MOUでそれほどリスクが高くない船舶にも関わらず、高い頻度でPSCに来たり、検船頻度がTOKYO MOUと異なると感じることはないでしょうか。
それはAMSAは確かにTokyo MOUのメンバーですが、実務上はTokyo MOUの通常の選船方式とはかなり異なる独自のリスクベース検査制度を運用しているからです。
AMSAの基本ルール
AMSAの説明によると、外国船は原則として6か月ごとにPSC検査対象となる資格(eligibility)を得るとされています。
Vessel inspection database and targeting | Australian Maritime Safety Authority
つまり、
・PSCを受けた日から6か月間は通常対象外
・6か月経過すると再び検査対象
というのが基本です。
しかし一方で、AMSAは”必要と判断した場合は6か月未満でも検査間隔を短縮できる”と明記しています。そのため、AMSA独自の基準で検船頻度が高くなります。
TOKYO MOUとの違い
Tokyo MOUの一般的なPSCは、
・Ship Risk Profile
・前回検査
・前回Deficiency
・Flag
・RO
・Company
などを基に選船します。
一方AMSAは独自のShipsysデータベースを持ち、
・Tokyo MOU
・Indian Ocean MOU
・AMSA独自実績
・Detention履歴
・Company履歴
・苦情情報
・環境リスク
を統合してリスク評価を行っています。
AMSAの実際の検船頻度
AMSAは船を4つのPriority Groupに分類しています。
| Priority | Risk Factor | 目標検査率 |
|---|---|---|
| P1 | 6以上 | 80% |
| P2 | 4~5 | 60% |
| P3 | 2~3 | 40% |
| P4 | 0~1 | 20% |
つまり高リスク船は、オーストラリアへ入港するたびに検査される可能性が高い
ということになります。
Risk rating | Australian Maritime Safety Authority
AMSAはPSC件数自体が多い
AMSAのNational Compliance Planでは、年間2,400件以上のPSC検査を実施することを目標としています。
2023年には実際に約2,800件のPSC検査が実施されています。
これは世界的に見てもかなり積極的なPSC活動です。
Focus area 1: Port and flag State control | Australian Maritime Safety Authority
では、以下のTokyo MOU(APCIS)のようにAMSA独自のPriorityをを確認できるようなサイトはあるのでしょうか。
結論から言うと、AMSA独自で一般公開されている「Priority(Inspection Priority)」確認データベースはありません。
むしろAMSA自身が、AMSAの船舶拘留情報やPSC履歴はTokyo MOUのデータベースを利用して確認してほしいという立場を明確にしています。
AMSAの公式サイトには、
・AMSAはTokyo MOU加盟国である
・オーストラリアでのPSC履歴やDetention履歴はTokyo MOUのデータベースで公開されている
・AMSAは独自の静的データベース公開をやめ、Tokyo MOUを一次情報源としている
と記載されています。
したがって、船側から確認できる公開情報としては、Tokyo MOU APCIS が実質的に唯一の公式情報源です。